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覚えていますか?当時最新鋭だった「ピーチライナー」のお話

目次

桃花台へ伸びていた鉄道路線 桃花台線(ピーチライナー)

弊社のある小牧市は、東西に長い街です。弊社や小牧駅・市役所などの中心部は西部にあるのですが、小牧市の東部には桃花台ニュータウンが拡がっています。
桃花台ニュータウンは愛知県が中心となって開発し、1980年に入居が開始された、名古屋圏でも高蔵寺ニュータウンに次ぐ規模の大きいニュータウンです。

桃花台ニュータウンの中心部(Wikipediaより)

そんな桃花台ニュータウンへその昔、鉄道が走っていたことは皆さんもう忘れてしまったでしょうか?

今日は、桃花台ニュータウンへ伸びていた鉄道路線、”ピーチライナー”についてお話したいと思っています。

ピーチライナーの車両(Wikipediaより)

ユニークなシステムを取り入れた、当時最先端の新交通システム

ピーチライナーは、その正式名称を「桃花台新交通桃花台線」といいます。桃花台ニュータウンへの鉄道構想は造成時点からあり、1979年に運行会社の「桃花台新交通」が設立。後の開業まで、小牧駅・岩倉駅まで代行バスを走らせていたそうです。

桃花台は丘陵地で、急勾配も多いことから、普通の鉄道では勾配の面でクリアできません。そこで、「新交通システム」という当時最新鋭だった運行システムが採用されました。
新交通システムはゴムタイヤを履いた専用車両がガイド(案内軌条)に沿って走行するもので、パリの地下鉄など海外ではよく採用されています。日本でも、東京都心を走る「ゆりかもめ」神戸の「ポートライナー」など各地で採用されています。

ピーチライナーでは、その案内軌条を中央に配置する方式となりました。この方式は他では、今にも過去にも千葉県の「ユーカリが丘線」でしか採用されていないユニークなシステムです。

写真は廃線後の姿であるが、中央部に案内軌条の跡が確認できる

運行スタイルも独特なものでした。通常の鉄道車両は両端に運転台があり折り返し運転をしますが、ピーチライナーは営業用の運転台を片側にしか配置せず、常に一方向へ進む前提で作られています。そのため、起終点の小牧駅と桃花台東駅にはループ線が設けられました。

桃花台東駅のループ線

全駅で島式ホームとなったため、一方後にしか動かないピーチライナーの車両には、ドアは右側にしか配置されなかった点もユニークでした。

小牧~桃花台東 所要15分のショートトリップ

ピーチライナーは1991年に開業しました。小牧駅~桃花台東駅を約15分で結ぶ、短い路線でした。
データイムは20分に1本の間隔で利用できました。

路線図(スタッフが作成)

ほぼ全線が高架でしたので眺望が良く、天気がいい日には名古屋の高層ビル群も眺めることができました。運が良ければ先頭での”かぶりつき”(前面展望)もできました。

YouTubeにアップロードされている前面展望動画です。ショートトリップをお楽しみください(※スタッフの撮影ではありません)

高蔵寺まで延伸予定があった!?

実は、最終的には高蔵寺ニュータウンを抜けた先のJR高蔵寺駅まで延伸が計画されていました。一部では用地取得も行われ、準備工事はなされていましたが、建設費用が莫大となる試算が出たため、断念せざるを得なかったようです。春日井市側が建設を渋ったというウワサもあるようです。

実際、高蔵寺ニュータウンのメインストリートは中央分離帯が広く取られていますので、この上に通す予定だったのかもしれません。

もし高蔵寺ニュータウンやその周辺にある造形大学や中部大学のそばを通していれば、もっと需要が高くて廃止されずに済んだのでは、と個人的に思っています。

なぜ客足が伸びず廃止となってしまったのか

しかし、ピーチライナーは開業15年後の2006年、廃止のかたちで幕を閉じてしまいました。

桃花台ニュータウンへの入居者数が予想より大きく下回っただけでなく、小牧駅で接続する名鉄小牧線の存在が大きなネックとなってしまったのです。

開業当時、名鉄小牧線の名古屋方面は、上飯田駅で途切れてしまう状態でした。ここから地下鉄の平安通駅に行くのに、バスや徒歩移動が必要で、小牧線の利便性が著しく低かったのがピーチライナーの客足が鈍る理由でした。

実際、ピーチライナー利用者の何倍もの住民が、車を利用してJR中央線の春日井駅などを利用していたことがわかっています。

利便性が悪い、運賃が高い、本数が少ない、の三拍子揃ったピーチライナーが受け入れられるわけがなかったのです。ピーチライナーが廃止の瀬戸際だった際も、住民の目は冷ややかなものでした。

廃止後、小牧駅方面が「ピーチバス」に置き換えられたほか、JR春日井駅に行く名鉄バスが新設されました。結局、バスのほうが近くから乗れるなどの点で住民からの評価が高くなったのは当然だったと言えます。


現在、ピーチライナーの廃線跡の撤去工事が進んでいます。小牧駅も去年、解体工事が着手されました。撤去されて痕跡がなくなったら、市民から完全に忘れられてしまう存在かもしれません。だから、今のうちにと思っていろいろ述べてみました。

ぜひその存在が後世にも伝わっていけば良いなあと思います。ちなみに車両は今も豊田市内で保存されているそうです。

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